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Airbnb キャンセルを巡る議論 ー 日本の民泊に関する規制(民泊新法)は厳しいのか?

論点1 - 規制は厳しいのか

諸外国の規制を見る

(参考1)諸外国における規制等の事例について(国土交通省)

(参考2)各国の民泊の現状

 

例えば、ニューヨークの場合下記のようになる。見て分かる通り、結構厳しい。

宿泊業(ホテル等)を営む場合の規制等

  • 宿泊業を開始するに当たっては、市の登録を受ける必要がある。また、建設に当たっては、州、市当局から各種許認可、検査を受ける必要がある。
  • ホテルについて、構造に関して、居住、宿泊の部屋を仕切る壁に関する規定が、防火 に関して、出入口・警報器等の掲示や検知器、警報器等の設備に関する規定がそれぞ れ一般住宅の規定に加えて規定されている。
  • ニューヨーク市でホテルの建設が認められるのは、商業地域の大部分、工業地域の 一部のほか、住居地域で市の許可を得て認められるケースもある

民泊に関連した貸主に対する規制等

  • 2010年に州法が改正され、居住を目的とした共同住宅(クラスA)では、連続30日以上の居住が求められることとなり、3戸以上の共同住宅では居住者が不在の場合に、30日未満の短期滞在は違法となった。
  • 上記の共同住宅以外の建築物であっても、市条例により、許可なしに使用用途の変 更はできず、短期滞在は違法となる。 

要は、共同住宅では短期滞在が不可能、という形だ。

この他にも、

・90日以上貸し出す場合は転用許可が必要(ロンドン)

・貸出が年間60日まで(オランダ・アムステルダム)

・8ヶ月以上の居住実績が必要(フランス・パリ)

など、要は「住んでいない物件を借りて、Airbnb専用にするのはダメだけど、部屋が余っているなら時々貸し出してもいいよ」というような法体系になっているところが多い。

そもそもAirbnbって、そういうサービスだったのではないだろうか。適当にアパートを借りてAirbnb専用物件にする、というのはサービスの趣旨から外れているような気がする。

 

改正旅館業法・民泊新法に関する国会質疑を見る

民泊については、主に平成29年06月07日の衆議院厚生労働委員会で議論されていた。 

一つは、今、現に旅館業やホテル業をされている方々、こういう方々から見れば、特に、今回、民泊では、不在型と言われる、家主がいない、こういう民泊については、ビジネスじゃないか、同じように仕事をビジネスとしてやるのに、片や規制が緩くて、片や許可をとって厳しい規制になっている、不公平じゃないか、同じような規制にすべきじゃないか、こういうアプローチがある(後略)

 

今、民泊をされている、家主が居住型で一緒にいて、そこに泊めている、こういう方々からすれば、家主がいないところ、本当に単に貸しているところとは、例えば、現に今、我々は住んでいるわけですから、そこで生活をしているわけですから、安全の基準やさまざまな衛生基準というのは同じじゃ困る、今、我々の生活は現にできているんだ、こういう観点、この二つのアプローチがあって、この中でどういう規制をつくっていくかというのが大事だというふうに思っています。

 

伊佐進一衆院議員(公明党) 
 私ごとなんですけれども、私、今、議員宿舎に住んでおりませんで、議員宿舎より安い、本当の一部屋のワンルームマンションに住んでいるんです。一年ぐらい前からですか、両隣が多分、民泊になっているんです、私の部屋の両隣が。それで、やはりうるさいんですよね、夜な夜な。多分、民泊なんですよ、いろいろな国の人が入れかわり立ちかわり入っていますので。


 通報というお話がありました。私も、たまたまこういう制度とか世の中の動きに関心があって、私、民泊自体は決して否定的な立場ではないので、いい民泊、いい制度はどんどん広まってもいいと思っている側なんですが、ただ、違法民泊、あと、いろいろこれまで審議会とか国土交通委員会でも議論になった、やはり住宅地でこういう旅館的営業をやることの是非というのは、今もずっと議論として残っていると思うんですね。


 通報と言われたときに、私も別に通報はしたことはないですし、違法か合法かすら、両隣、どういう運営形態か全くわからないです。もし仮に違法だとわかっても、それは私は、こういう仕事で、正義感を持って通報するでしょうけれども、普通は通報しにくいだろうなと思うんですよ。

 

井坂信彦衆院議員(民進党)

このような声がある一方。この日は、民泊について話し合われると同時に、既存の旅館に対しての規制が過度に厳しいのではないかという議論もあった。

 当然、ダブルスタンダードになってはいけない。別に、民泊だから汚くていいとか、民泊だからこういう衛生回りを手を抜いていいということでは全くないというふうに思います。
 ただ一方で、今旅館、ホテルに課される衛生基準というのは、私もこの細かい、旅館業における衛生等管理要領というのをずっと隅々まで見せていただきましたけれども、もう大変細かいことまで規定をされております。これが本当に果たして旅館、ホテルを営むために必要な最低基準の衛生基準と言えるかどうか、私は大変疑問に思いますし、これをまた今から民泊に全部課すとなったら民泊は成り立たないですから、民泊はやはりもっと緩いものにせざるを得ないというふうに思うんですね。


 そうなってくると、私、大変疑問に思いますのは、では、これまでこれだけ細かく定めて守らせていた衛生基準というのは本当に必要な衛生基準だったのかという議論に当然なってくると思うんですよ。 

井坂信彦 衆院議員(民進党)

 せっかくこの旅館業法を改正して、罰則をつくって、無許可営業については立入検査ができるようにするわけですから、今現在あるほぼ旅館業と言えるような形態でやっている賃貸マンションとか、そういう今回の、先ほどの簡易宿所みたいなものについては、きちんと立ち入りして、実態をきちんと見て、やはり許可をとらせるべきものはとらせる(べき)

初鹿明博 衆院議員(民進党)

 防犯上の理由から、深夜に女性を一人で働かせることは避けるべきではないかというふうに思います。また、フロント勤務は、一人でやると、夜は、仮眠も休憩も十分にとれない、昼も、いつ来るかわからない来客や電話に対応するために昼食をとる暇もない、非常に過酷な勤務条件にある、労働条件にあるということが言われています。
 ホテル、旅館業界では、これまでも残業代の未払い訴訟というのも多く起きておりますし、今後、働き方改革、長時間労働規制を進めていく上で、土日とか休みも関係なく、二十四時間の対応が求められるホテル業界の特性に対応した対策というのが必要ではないかというふうに思います

大西健介 衆院議員(民進党) 

論点2 - 観光庁の通達は適切か?

 ニューヨークにおけるAirbnbの収益の3分の2は、何らかの法律に違反した取引である、と書かれている。

先の国交省の調査にも、ニューヨークについてこう記載されている。

2014年10 月、州の実態調査により、Airbnb に登録されている物件の 72%が違法なものであることが判明。取締強化の方針が打ち出された。

様々な経緯を踏まえると、Airbnb側の法規範の甘さが今回の対応を招いたのではないかという疑念は拭えない。

違法物件に対して売上を下げてでも対処する、というような積極的な対応を取っていないのではないか、という批判は当然あるだろう。

とはいえ、Airbnb側のリリースにあるように、観光庁との事前のすり合わせでは合意できていて、突然ちゃぶ台をひっくり返されたのかもしれないし、ここの実態はわからないが。 

まとめ

今回の民泊新法は、諸外国を鑑みても比較的軽度な規制といえる。

そのうえで、既存の旅館業法が古くなっていることは大西議員の指摘などにもあるので、既存の宿泊施設に対する不要な規制を取り払いつつ、一部地域を国家戦略特区などで規制緩和するというのはそれほど悪いプラントは思えない。

ニューヨークやサンフランシスコなど、あまりに民泊需要が高まったことで住宅事情が悪化した例も多い。

シェアリングエコノミーは決して悪ではないが、本来想定された運用である、「余った部屋を貸す」というような運用は、おそらく日本では難しいだろうし(部屋が余るケースがイメージできない)、そうなれば、当然部屋ごと貸すという形になる(不在型)。そうすると、当然ゲストの騒音なども管理するものがいなくなるわけで、隣人トラブルに発展することは必然だ。

当然、このような現状を考えれば、部屋貸しとは違う規制が必要になるし、管理者を明記することなどは必要なのではないか。

 

総じて考えれば、「これくらいの規制がクリアできないような物件なら、やはりリスティングすべきではないのではないか?」と思う。