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審議拒否を無くす方法 - 野党が提案すべき国会改革とは?

 

審議拒否を巡る議論

野党の審議拒否に関する抵抗感が、かつて無いほど高まっている。

 

審議拒否 - Wikipedia

安保闘争時の混乱により「乱闘国会」と呼ばれるなどして世論に国会不信が生まれたため、与野党間での申し合わせが結ばれ、野党は議場占拠などの物理的抵抗をせず、自民党は単独審議や単独採決を行わないことになった。

 

1970年代以降、野党はその代わりに審議拒否を主たる対抗手段として使うようになった。度を越した審議拒否は世論の離反を招くため、野党側にも自制は働く。

 

とはいっても、(何度も書いてきたように)日本の野党は現実的に法案を廃案にするには、審議をしないことしか手段がないのが現状である。

その手段を奪ってしまうことは、過剰に行政府の執行機能のみを肥大化させるだろう。

 

ただ、本来、審議拒否というのはやはり野党のあり方としては正しいものではない。だからこそ、制度そのものを変える、国会改革が必要なのだ。

 

実は、簡単に野党の審議拒否を無くす方法がある。それは、通年国会を導入することだ。

 

通年国会とは?

簡単にいえば、一年中開いている国会

国会には「会期」というものがあり、通常国会は150日が会期となる。会期延長には制限があるため、そのリミットまで法案成立を引き伸ばすことができれば野党は法案を廃案に追い込むことが出来る。

この会期をそもそも無くしてしまい、常に国会が開いている状態にすれば、野党は審議拒否という戦術を取っても廃案に追い込める可能性がなくなるため、会期引き伸ばしを目的とした審議拒否はなくなる。

実は、通年国会自体は民主党政権時代に国会改革案の一つとして提案されていたし、それ以前から河野太郎衆院議員や細野豪志衆院議員、泉健太衆院議員など、国会改革を旗印にする若手議員からは要望書が出されていた。

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実はずっと前からある話だ。

 

 海外はどうなっているの?

一年の中で何度も会期末を迎える国というのは珍しい。というより、ほとんど無いと言ったほうがいいだろう。ほとんどの国は任期までが会期か、1〜2年をベースにしている。

国立国会図書館 欧州の主要な会期制度

なぜ日本の国会制度がこのような形になったのかは、率直に言うとよくわからない。おそらく、国土が縦に長く、インフラが壊滅した戦後日本で通年国会を行うと地元に買える時間がなくなる、という当時の判断ではなかったのかと推測するが。

 *帝国議会からの名残というコメントを頂いた。ワイマール憲法を読むと、特別国会が憲法に規定されているので、ワイマール議会も似たように回帰性であることが推測される。(きちんと調べていないが)その影響があったのではないか。

 

 

 

現状の会期制度は、ねじれ国会の際には一定の影響があるものの、ねじれがないときには、審議拒否も実際的な意味を持たない。つまり、通年国会にしたところで現状の与野党の力関係が大きく変わることは今のところないだろう。

しかし、制度上政府与党に有利になりすぎている点を、修正すべきだと考えている。

 

真の国会改革のために

党議拘束の緩和

日本は世界でもまれに見る党議拘束大国である。イギリスを含め諸外国にも党議拘束があるが、日本のように全ての法案を縛るわけではなく、特に閣内に入らないバックベンチャーには一定の裁量が与えられている。

(その辺は、篠原孝議員のブログに詳しい)

しのはら孝blog: 党議拘束違反で分裂、離党の大騒ぎは日本のみ―アメリカに党議拘束などなく、ヨーロッパ諸国には造反者への処分もなし― 12.07.17

全ての法案で造反者が出るとそれはそれで大変なので、例えば予算案など特に執行の遅れが許されないもの以外に、と言うかたちでまずは段階的に党議拘束の緩和を進めるべきだと考えている(法案で出せるかは難しいところだが)

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(そうすれば、般若心経を唱える議員も居なくなるはずだ)

そもそも、答弁というのは説得行為であるのにもかかわらず、必死で話しても誰も聞かないで寝ているのは白けるだろう。

 

一括審議の廃止、対案に対する個別審議を行う

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 「対案提出」について、現状では難しいという趣旨の記事を書いたが、これを変更するのに妥当な方法は、一括審議の廃止である。

通常、与党が提出した法案に野党が対案を出すと、それらは一括して議題に上ることになる。そうして、審議されることなく、賛否も明らかにされず吊るされたまま採決されることになる。

まるごと一括で法案を提出するという与党の戦略を、まずやめるべきだ。

例えば、野党提出の法案に関しては個別の議題とし、それらに関しては与党議員が質問に立って問題点を洗い出すなどとすれば、今より遥かに野党の法案提出に関する意欲も上がり、また国民のもとに二つの案のどちらが良いか、ということを考えさせる機会になる。

 

解散権の濫用を禁ずる

また、これまで濫用されてきた解散権も、より抑制的に使われるべきだ。日本ほど頻繁に解散が行われる国は少ない。だから一時期はコロコロ総理大臣が変わったのだ。

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これは、基本的には政権与党に有利なことである(好きな時に選挙が出来る)

例えば、イギリスでは2011年に Fixed-term Parliaments act(議会任期固定化法案)を成立させ、議会の圧倒的多数の賛成がない限り、与党が勝手に解散することは出来ないようになった。(まあ、とはいっても今度解散するのだが)

基本的には、ある政党が衆院で信任されれば、四年間のスパンを最低限与えるべきだと考えている。近視眼的に見るよりも、四年くらいで考えたほうが、よほど政策もブラッシュアップされるはずだ。

また、候補者にしても、いつ解散があるかわからなければ、いきなり仕事をやめることになる。参院のように、特定の選挙に合わせて仕事を片付けられるようにしたほうが、室の高い人材が集まるはずだ。

解散権を抑えて、かつ通年国会を導入すれば、より息の長い議論が国会で行われるようになるのではないか。

 

党首討論の常設化

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イギリスの議会についての記事でも述べたが、イギリスでは党首討論は常設であり、かつ党首同士が火花を散らす、極めて重要な機会である。

日本でも、正々堂々党首討論を毎週でも開いて、そこで国民の信を問えばいい。

 

まとめ

  • 通年国会の導入
  • 党議拘束を緩和
  • 野党の対案を個別の議題に
  • 解散はもっと抑制的に
  • 党首討論の常設化

 

これだけ導入すれば、審議拒否もなくなるし、より充実した国会になるはずなのだが、いかがだろうか。

審議拒否というのは格好の良いものではないし、国民のためになるものでもない。

だからこそ、与野党と国民のために制度を変える必要がある、というのが本稿の結論である。