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与党支持者でも、政権を批判するべき時がある理由とは?

与党支持であっても政権を批判するべき時はある

日本国憲法第十二条

この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。 

私はこの数日、ずっと当たり前のことを書き連ねているように思う。本稿も、おそらく大多数の人にとっては「何も当たり前のことを」という内容である。

 

森友学園問題

野党が悪い?

昨今、記事であれ、ツイッターであれ、政権の失敗を指摘すれば、なぜか野党を揶揄するような反応が多く飛んでくる。
これはかつての政治報道を考えると、信じがたいことである。森友学園をめぐる既稿の弊記事にも、同じような反応があった。

www.yomu-kokkai.com

典型的なのは、こういう反応だ。

「こんな政権批判ばかりしていても、野党の支持率はあがらないよ」 

しかし、本件は、行政府にかけられている口利きの疑惑である。野党は一切関係がない。だから、野党の支持率が上がるはずがない。当たり前の話だ。
国民の共有財産である国有地が、要人の知人に対して格安で払い下げられた、という問題は、本来、政党間の争いに使われる話ではない。立法府の全議員が追及してしかるべき問題である。

立法府の議員は、原則的には全国民の代表だからだ。

日本国憲法 第四十三条

両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。  

野党支持者であろうが与党支持者であろうが、税金は払っている。国の財産が恣意的に値付けされれば、それは国民全員の問題なのである。党派に関係なく、立法府が行政府に対して説明を求めていくべき事案なのだ。
三権分立とはそういうものではないだろうか?これは空虚な原則論に過ぎないのだろうか?

 

立法府の劣化

沈黙する自民党

問題は、支持基盤も財政基盤も弱い野党だけがこの問題を追及し、多数の自民党議員が国民の財産に対し不誠実な沈黙を続けているという点にある。
本来、立法府の議員は党に所属する以前に国民の代表であり、国民全体の声に応える必要があるはずだ。
野党が時に現実的な法案への賛成を求められるのと同じく、与党もまた、行政府の失策や不作為を追求するべき時がある。

 

派閥の劣化と総裁候補の不在

なぜこのような事態が起こってしまったのだろう。自民党の派閥が弱体化したのは見過ごせないポイントだ。
本件は、かつてなら「安倍おろし」が始まってもおかしくないスキャンダルである。しかし、自民党内からはほとんど反応がない。

岸田文雄といった、将来の総裁候補と目される人間も沈黙し、石破茂や船田元が発言しても、注目されることがない。
石破茂は、安倍晋三と2012年の総裁選を戦い、地方票において上回った政治家だ。彼が「奇怪な話」とまで発言したのだから、かつてであれば自民党支持層も「さらなる調査を」と声を上げたはずだ。

www.sankei.com

それだけ、自民党において安倍晋三を除く政治家の存在感がなくなっているということである。だからこの問題については解明が全く進まないのだろう。

 

我々に課せられた不断の努力

憲法12条の精神

冒頭記したように、我々は不断の努力で憲法上の権利や、三権分立といった権力監視の仕組みを守らなくてはいけない。

完璧な政治家などいない。完璧なリーダーもいない。完璧な政党もない。
政治とは、どちらか一方に加担し、もう一方の失点をあげつらい、我が方の失策を無視するゲームではない。選挙にどちらに投票しようが、間違っているものには間違っていると声を上げる権利と義務が我々にはある。

左右どちらの立場であれ、その原則は守るべきだ。政権を批判する側にも、もちろんそういった人間もいる。思想に関係なく守るべきルールというものがあるはずだ。

民主主義とは、あるいは政治とは、完璧でない政治家に対し必要以上の権力を与えないよう監視し、自らの生活や権利を守っていくプロセスなのだ。

 

人民は弱し、官吏は強し

我々は権力の前では無力なのである。ニーメラーの詩を引用するまでもなく、一度自由や個人の権利が失われれば、それを取り戻すには途方も無いほどの犠牲が必要になる。

ファシズムもナチズムもスターリン主義もクメール・ルージュも、左右に関係なく権力は増長し、時に暴力的になる。全体主義に左右の思想は関係ない。

国民の権利が阻害され権力が暴走すれば、思想などは瑣末な問題になるのだ。そういった歴史を知れば、当然のことながら、国民の不断の努力なくして権利はいつか失われることがわかる。

思想や党派性の違いを超え、国民として権力を監視する義務を、我々一人一人が負っているのではないか。後世に民主主義国家を残すために。

どこにおける不正であっても、あらゆるところの公正への脅威となる。

マーティン・ルーサー・キング・ジュニア

 

人民は弱し 官吏は強し (新潮文庫)

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