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二重国籍の人間が国会議員であることが、違法でないという政府答弁

 

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本日、蓮舫代表の記者会見が行われた。これについては、前回問題点などを指摘したので参照されたい。

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さて、今回は、昭和五十九年の衆院における二重国籍に関する政府答弁を取り上げる。元の議事録はこちらになる。

 

前提条件として申し上げると、翌年から改正国籍法が施行され、父系主義だった国籍法が父母両系主義になった。これにより、蓮舫氏が国籍取得を行えるようになった。

この答弁は政府解釈の変更がない限り今も維持されていると考えられる。

 

ちなみに、政府委員制度というのは大臣の代わりに役人が応えるという(大臣が不要になる)制度である。国会審議活性化法の施行により廃止された。

政府委員による衆議院での答弁

飯田忠雄衆院議員

 それで、次の第二番目の二重国籍の公民権についてお尋ねをいたしますが、最近我が国の国籍法が改正になりました。父系主義に母系主義も加えまして父母両系主義になりましたので、したがって、従来日本国籍のなかった人が日本国籍を取得することになってまいりました。

 この問題に関連しまして、国籍の問題はこれは国家主権に関連する問題で、各国が自由に自分の立場から国籍法を決めておるわけです。そこで、我が国の国籍法がどうあろうとも、外国で別の国籍法をおつくりになることは自由であります。

 そうしますと、外国の国籍法によって事実上二重国籍となる場合が考えられるわけですが、今日そういうことになるようなおそれのある外国の立法を御研究になっておれば御開陳を願いたいと思います。これは法務省。


政府委員(枇杷田泰助君)

 過日御審議いただきました国籍法の改正によりまして、二重国籍が我が国においてもかなりふえるであろうということが予測されますが、同時に他国におきましても国籍法の改正をいたしますと、それに伴って重国籍が生ずるということは考えられるわけでございますが、ただ、各国の方でこれから例えば父母両系血統主義に改めていくとかということになりますと、将来に向かって重国籍者がふえていくということは当然考えられると思います。

 そういうふうな傾向は血統主義をとっている国におきましては傾向としてありますので、今後ともふえてまいろうかと思います。ただ、過去にさかのぼって父母両系血統主義のようなものを適用していくというようなことになりますと、現在は日本国籍を一つしか持っていない人が重国籍を持つというふうなことも、それはあり得ないわけではございませんが、そのような過去にさかのぼって当然に自国の国籍をも与えていくというふうな改正の動きがあるというようなことは具体的には私どもまだ承知しておらないところでございます。


飯田忠雄議員

 理論的にそういうことがあり得るというお話でございましたが、それではそれでいいんですが、旧国籍法、明治三十二年法律第六十六号というのがございますが、その旧国籍法の第十六条は帰化人、その子、日本人の養子、入夫、こういう者が国務大臣とか大審院長、会計検査院長、帝国議会の議員となることを制限しておるわけです。こういう規定を旧国籍法が定めた理由はどういう理由であるとお考えになっておるでしょうか、お尋ねします。これは法務省、自治省どっちでもいいです。


政府委員(枇杷田泰助君)

 旧国籍法の十六条にただいま御指摘のような条文があるわけでございますが、これは国の重要な意思決定あるいは国権の重要な作用を担当する者につきましては、かつて外国人であったという方については適当でないということを考えてこういう規定を設けただろうと思います。そのようなかつて外国人であった者については適当でないという考え方は、まだ十分に日本人になり切っていないのではないかという危惧がある、そういう者が国の意思を決める重要な地位に立つというふうなことは若干危険ではないかというような発想からこのような規定が設けられたというふうに古い書物などには書いておるところでございます。私どももそういうことで置かれた規定であろうというふうに想像いたしております。


飯田忠雄議員

 それでは、現在の我が国の国情から言いまして二重国籍者、これは前は外国人、まあ前は外国人じゃないとしても現在同時に外国人である、そういう人ですね。日本人であると同時に外国人であるという場合に、旧国籍法で心配されたようなことがないと言い得るかどうか、大変疑問が存在すると思いますが、この点についてはいかがお考えですか。これは法務省にお尋ねします。


政府委員(枇杷田泰助君)

 旧国籍法にはただいま御指摘のような規定がございましたけれども、現在の国籍法にはそのような規定は設けられておりません。さらに二重国籍がふえることになるであろうというふうな予想をしておりますこのたびの改正法におきましても、このような規定を設けることをしておらないわけでございます。

 それは旧国籍法のようなそういう危惧の念というものをこれは持つ必要はないだろう、殊に非常に民主主義というものが強く打ち出されました新憲法下におきましては、そのようなもし他国籍もあわせ持つ者とか、あるいはかつて外国人であった方であっても、これは要するに国民の意思、そういうようなものによって重要な国権の作用を果たす者が選ばれていくということでありますから、そういうところで実質的にチェックできるであろうというふうなことも考慮されているところだと思いますが、現在ではそういうような危惧を法律上とる必要はないという立場にあるものと考えております。


飯田忠雄議員

 二重国籍ということは、御承知のように現在日本人であると同時に外国人だと、こういうことですね。

 日本人と外国人とが同居しているわけなんですが、人間の心というものはなかなか外からわからないんです。

 日本人と外国人が同居している場合に、その人の心は日本人なのか外国の方を向いているのかはっきりしないでしょう。

 そういうはっきりしない人が我が国の総理大臣になる、国会議員になるということでいいのかどうか、日本の政治を左右することになることが、それで日本の国家主権は守られるかという問題に関連するんですが、その点はいかがですか。


政府委員(枇杷田泰助君)

 確かに国の重要な地位に立つということは、国の将来をも決めるようなそういう意思決定をする立場にあるわけでございますので、したがいまして、日本の国というものを考え、そして日本の国民全体が連帯意識を持つ、そういうような考え方の強い方が望ましいことは当然だろうと思います。

 それを二重国籍者であるからといって、当然にそういう考え方がないだろうというふうに一つのパターンを決めて法律上制限をするということまでは必要ないだろう、それは日本国籍を持っておられる方であっても、場合によっては今申し上げましたような点においては十分でないという方もおられるかもしれません

 ですから、それは個々の方の問題であって、法律的に一つのパターンを決めて、そしてある資格を奪うというふうなことはいかがなものであろうかというのが現行法の考え方でございます。

 

飯田忠雄議員

 二重国籍者は日本の国籍の選択宣言をすることになりますね。そういう選択宣言をしないで二重国籍のままでおるという場合、外国の国籍を離脱する手続をとらないような人、こういう人について今度の国籍法はどうなっておりますか。


政府委員(枇杷田泰助君)

 御承知のとおり、今度の改正法におきましては選択の宣言をした人は外国の方の国籍の離脱に努めなければならないと規定いたしておりますが、しかし国の国籍の方を離脱できるかどうかはこれは当該外国の国籍法の規定によって左右されるわけでございます。そういうことでございますので、離脱しなければそれによって直ちに日本の国籍の方を喪失させるとかというような効力を認めるということは適当ではございません

 したがいまして、御本人の努力と、それから各国の法制とによってなるべく外国の国籍を早期に離脱するようにということを期待するということにとどめております。それ以上のことは酷なことにもなりますので、改正法におきましても要求はしておらないところでございます。


飯田忠雄議員

 日本国民とそれから外国人というものは違うでしょう。外国国籍を持っておる者と日本国籍だけの者と同じであるかどうか、この点私は非常に御答弁を聞いておりまして不思議に思いますが、日本国籍を持っておって同時に外国国籍を持っておるということは外国の立場から見れば外国人なんですよ。

 アメリカの立場から見ればアメリカ人なんです。

 日本人じゃない、日本から見て日本人だけれども。

 そういう場合に心が両方を向いておる人を、それをただ抽象的に日本国籍を持っておるから日本人だということで、日本の政治的な責任を任せていいといったようなそういう理論がどうして出てくるのか、私は非常に不思議に思うんですよ。

 外国でこういうような場合にどういう措置をとっておられますか、御研究になったことがありましたらお知らせください。


政府委員(枇杷田泰助君)

 確かに世界の国籍法の一つの理念といたしまして国籍唯一の原則というものがございます。

 一人の人間は一つの国籍を持つのが望ましいという考え方でございまして、これは私どももそのとおりだろうと思います

 したがいまして、なるべく一つの国籍になる、日本の国籍に固まるかあるいは他国の国籍一つだけになるかということが望ましいという考え方でおることは過日の改正法の御審議の際にも繰り返し申し上げた点でございますが、ただそういう原則がありましても、実際上各国の国籍法がまちまちでございます。

 万国を共通する国籍法があるわけではございませんために、当人の方が一つの国籍にしたいとしてもそれができないという場合があります。


 我が国の方では日本の国籍の方を失いたいというならば二重国籍者についてはいつでも離脱ができるという法制になっておりますからよろしいのですけれども、外国では必ずしもそうでないというようなことがございますために、その解決の方法として選択の宣言とか、あるいは留保とか、そういうふうな制度でいろいろなことを考えておるわけでございますけれども、また外国の方でも国籍唯一の原則というのはやはり一つの原則として考えているようでございまして、その法制をとるところもいろいろありますが、ただ具体的にはなかなかそれを解消するという妙案がないというところから事実上断念しているところもあるようでございますし、あるいは我が国と同じような選択の制度、あるいはそして他国において選択の宣言をすれば自国の国籍を喪失させるというような法制をとっているところも若干あるわけでございまして、今後国籍法の改正を考えておる国もかなりあるようでございますので、どういうふうな方向に行くかはわかりませんけれども、やはり国籍唯一の原則というものを、自国の法制並びに戸籍制度等、要するに国民の把握の仕方との絡み合わせからいろいろなことが各国の実情において工夫されていくものだと思います。


飯田忠雄議員

 先ほど旧国籍法のところでお尋ねしましたが、旧国籍法でも選挙権を制限しているのじゃないんですよ。

 国の重要な職、国務大臣とか、現在で言うならば最高裁長官とかあるいは国会議員、そういうものになるのを禁止しておるだけであって、選挙権そのものを一般的に禁止しているんじゃないですよ。

 そういうことは、なぜ旧国籍法がそういう制限をとったかといえば、やはり国の主権擁護のためであると解きざるを得ないわけですね。
 そこで、二重国籍者に被選挙権を無制限で認めるということは政治上障害が起こらないと合理的に判断させる根拠がありますか、お尋ねします。

 これは今法務省ばかりお尋ねしましたので、自治省のお方と内閣法制局のお方に御答弁を願います。


説明員(浅野大三郎君)

 被選挙権につきましては公職選挙法第十条で規定しているわけでございまして、一定年齢以上の日本国民は衆議院議員または参議院議員の被選挙権を有するということを定めております。一方で二重国籍の者を排除するという規定もございませんから、日本国籍のほか他の国の国籍を有する二重国籍者が国会議員となるということも現行法上可能ということになっております。
 お尋ねは、一体それで政治上障害が起こらないという合理的理由があるかどうかということでございますが、大変難しい問題でございます。ただ、私どもといたしましては、これまでのところそういう二重国籍者が選挙権を行使する、あるいは選挙によって選ばれる、公職についたことによりまして何らかの障害が生じたという事例は承知しておらないところでございます。

 

政府委員(前田正道君)

 ただいまの問題につきましては、過日委員から当局に対しましてもお尋ねがあり、その際、担当部長の方から、重要な問題でございますのでしばらく検討さしていただきたいというふうにお答えしたように記憶をいたしておりますので、私から答弁いたしますことは差し控えさせていただきたいと存じます。


飯田忠雄議員

 これはまだ法制局の方で正確な御返事はいただいてないんですよ。それでお尋ねしたんですが。
 それで、私がなぜこういう問題を取り上げるかといいますと、重大な問題でしょう。政治上の障害が一体起こらないかどうかという問題、例えば以前は外交官の奥さんに外国人をとることを禁止した時代がある。それは外交上の秘密が漏れるからですよ。例えば総理大臣が二重国籍者、例えばソビエトと日本と両方の国籍を持っているという場合に、結局強い方の国家主権に奉仕するという傾向になりがちです。日本の利益を侵害してでも強い方の外国の利益を図るということになりがちなんです。そういうことで一体日本国民の利益が擁護されるかという根本問題があるわけですよ。これは現実にそんなばかなことは起こらぬと、こういうふうに皆さんお考えかもしれませんが、二重国籍者であるならば起こる。
 例えば現在でも外国で複合民族の国においてはいろいろの民族の人が政治の衝に当たられます。この場合には単一国籍しか持ってないんですよ。あれが二重国籍を持っているならば大変問題が起こってくると思いますよ。殊に二重国籍者に外交問題を担当させ得るかというと、これは大変疑問が私はあると思います。こういうような重大問題を架空のことと考えておられることはこれは困りますよ、選挙権、被選挙権の問題は当然起こってくるんですから。
 そこでお尋ねしますが、外国の国籍法によって事実上二重国籍となる人、こういう人の年齢が今後公職選挙法に言うところの選挙権、被選挙権を有する年齢、そういう年齢になる場合は全くないとお考えなのか、あるいはあるとお考えなのか、お尋ねいたします。これは法務省と自治省にお尋ねします。


政府委員(枇杷田泰助君)

 私どもは国籍法を担当しておりますけれども、私どもが考えております国籍法というのは国籍の取得と喪失のことを決める法律であるということでございまして、二重国籍者が日本の国籍と同時に外国の国籍を併有しているということから他の分野におきましていろいろな問題が仮に出るとすれば、それはその法域でしかるべく措置をすればいいという考え方をとっておるわけでございまして、ただいま御指摘の選挙権、被選挙権の問題につきまして直接に私どもがお答えする立場にないということで御了解をいただきたいと思います。

 

説明員(浅野大三郎君)

 国籍法のことにつきまして私は所管ではございませんが、先ほどの御答弁をお聞きしておりましても、当然二重国籍ということは今後とも起こり得る状況にあるようでございます。そういうことでございますと、そういう二重国籍を持った方が公職選挙法で定める一定の年齢に達しまして、それによって選挙権、被選挙権を有するということはあり得るというふうに考えております。

 

まとめ

  • 二重国籍を持った人は被選挙権を有する
  • 日本人でも愛国心を持っていない人がいるのだから、国籍で判断はできない
  • 旧国籍法は国籍で区別していたが、新国籍法はそもそも民主主義の元なので、国民が判断すればいい
  • 離脱を勧告し、努力を期待する以上のことは、相手国によって変わることなので酷である
  • 制度が世界でばらばらになっているから他国の国籍で判断するのは難しい

 

重ねて申し上げたいこと

 普通、台湾パスポートを持っていた人間が日本のパスポートに変わればそれは「帰化」だと考えるだろう。ましてや、蓮舫氏は当時高校生である。国籍が抜けていたと考えてもおかしくはない。

 通常議員になろうという人間であれば、わざわざ二重国籍を維持しておくメリットなど皆無である。あれほど「愛国的」な小野田きみ議員ですら、国籍離脱は最近まで行われていなかったのだ。

 

 また、日台関係は植民地と宗主国の関係でもあり、国交断絶なども経た非常に複雑な関係性を有している。

 その中で、この問題を掘り返し続けるのであれば、日本の歴史やあるいは国籍法についての前提知識を充分に持っておく必要があるのではないだろうか。