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野党合同ヒアリングとは何か ― 国会の代わりではないその存在意義とは

 

 

野党合同ヒアリングとはなんだろうか。まずはこの動画をご覧いただきたい。

 

合同ヒアリングと国会の違い

上の動画を見ていただくとわかるのだが、野党は文科省から官邸に送られたメールについて「調べて欲しい」と要求している。

それに対して、内閣府の担当者はこう答えている。

やらないと行っているつもりはないが、調べるかどうかも含めて検討している

こんな稚拙なやり取りを国会に残すべきではない。

 

国会とは、きちんと国政調査権を使って、資料を明らかにした上で議論をすべきものであり、国会が持っているはずの国政調査権を「検討中」などと言い訳して妨害するような行為は、国会法第104条に反している。

野党合同ヒアリングは決して国会の代わりにならない。このヒアリングで聞いているようなことは、本来国会質疑の前にオープンにされるべきだからだ。

 

と考えると、野党合同ヒアリングとは「国会の審議をする前提」を整えるための場である、と定義することが出来るだろう。

ヒアリング/政調部会とは?

そもそも、与党でも野党でもヒアリング自体はよく行われている。

与党側のヒアリングは全くオープンにならないだけで、昔から政調部会でのヒアリングは官僚といわゆる「族議員」による政策決定のプロセスに置いて重要な位置を占めていると言われていた。

また、野党側のヒアリングも重要である。政府側の主張や実際に行われていることをチェックするため、政府側にデータを求め、そのデータに基づいて追求するのが国会だ。

「データを出してください」などと求めるのはあるべき国会の議論ではない。

 

なぜこのように野党合同ヒアリングが紛糾するかというと(そしてまた、なぜマスコミがここまで集まるかというと)、野党が要求する資料や調査がいっこうに進まないからである。

普通、与党が資料を要求してそれを出さないということは有りえない。ところが、先程の動画にあるやり取りのように、官僚がいっこうに資料を出さないので、吊るし上げるように見えてしまうのだ。

これは「モリカケいつまでやっているんだ」と同じく、資料を出さない側の問題である。例えば防衛省の資料などであれば、機密性が高いことは理解できるが、文科省から内閣府に送られたメール一つ調べないのは、ただの保身でしか無い。

議事録に残ってないの?

正確な議事録もなく、議場外で官僚に答弁を迫る手法には、与党だけでなく、身内の野党からも「単なるパフォーマンスで邪道だ」と突き放す声が出ている。  

読売新聞の記事で上記のような記述があったが、そもそも与党の政調などでのヒアリングも正式な議事録には残っていない。これは「国会の議事録に残るか残らないか」という問題であり、これを理由に批判するのはおかしい。

マスコミフルオープンで、ほとんどの議事録は YouTube などでも視聴できる。

野党合同ヒアリングの課題と今後

野党合同ヒアリングにはいくつかの課題も存在する。合同ヒアリングであるがゆえに、どうしても質問がばらばらになってしまいがちな部分があるし、散漫な印象も受けるだろう。

また、個人的心情としては確かに官邸が抑えているのに課長クラスの官僚に怒ってもなあ、という気もする。

 

しかし、繰り返すが、メール一通すらも調べられない、調べるかどうかも明言できないような政府に対して野党が国会で質疑をすることは不可能である。

なぜなら、データと証拠に基づいて行政監視を行うのが国会だからであって、今やったところで、ヒアリングと同じレベルの「出す」「出さない」の話になってしまうことは明白だ。

そもそも、このような追求型のヒアリングこそ、今の政府の機能不全を表していると言えるだろう。